[ 膠原病(SLE)・大腿骨頭壊死 ]

杖って、必要になるまで、ちゃんと考えたことがなかったんです。

どんな種類があるのか、どれを選べばいいのか。「杖コーナー」を意識して見たことさえなかった。

でも、膠原病(SLE)の治療で使ったステロイドの影響で両足の**大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)**が発覚してから、私の日常はぐるっと変わることになりました。


「杖が必要です」——突然の診断から、最初の一本まで

8月に痛みが出始めて、10月に診断が確定。「進行を遅らせるために杖を使ってください」と言われたのが11月でした。

痛みが一番ひどかったあの時期に杖を手に入れたとき、ものすごい安心感がありました。「やっと支えが来た」という感覚。今でも覚えています。

ただ、当時は今ほど情報がなかったんですよね。ネットで検索しても、病院の売店にあるような「いかにも医療用」のステッキの情報ばかり。なんかダサいな、もっとかっこいいのないかな、とずっとモヤモヤしていました。


私の杖の歴史——遠回りした4本

1本目:登山用ポール(かっこいいけど…)

当時唯一見つけたのが「医療用のステッキはダサい。登山用がおすすめ」という情報でした。それを信じて登山用ポールを購入。

見た目はかっこいいし、軽くて使いやすかった。でも数年後、折れてしまいました。用途が違うせいだったのかな、と今では思っています。

2本目:またしても登山用

1本目が折れたあと、懲りずにまた登山用ポールを購入。「前回のは外れだったのかも」なんて思って。結果は……まあ、お察しください。

3本目:ディナーショー用に奮発した、おしゃれなステッキ

ピアノのディナーショーに行くために、思い切っておしゃれなステッキを購入しました。持ちやすくて見た目も好みで大満足!

ただ、折り畳めないんです。バッグに入れられないので、常に手で持っていなければならない。座っている時の置き場所に困るし、荷物にもなるし。

「おしゃれなのに、ここが地味に不便だな」と感じ始めていました。

ちなみに、今だとスワロフスキーを使ったキラキラかわいい折りたたみステッキなんてものもあって。私が杖デビューした頃にはなかった選択肢なので、正直うらやましいなと思っています。

4本目:三つ折り折りたたみ杖——これが正解だった

そして出会ったのが、今も使い続けている三つ折りの折りたたみ杖です。


4本目の杖が最強に便利な4つの理由

① 新幹線の通路側に座る時

通路側に座ると、杖の置き場所に困りませんか?

歩行補助として使う以上、手放したくないけれど、通路に立てかけると邪魔になって人にぶつかる。座席の横に立てかけたら倒れる。

折りたたみ杖なら、サッと縮めてカバンやシートポケットにしまえます。座ったら折る、降りる前に広げる、それだけ。新幹線で隣の人に気を遣う場面がぐっと減りました。

② スーツケース移動の時

旅行先での移動中、スーツケースを引いているときって、杖を使わなくてもスーツケース自体が体を支えてくれますよね。

だから移動中はカバンの中にしまっておいて、現地に着いてから取り出すというスタイルができるようになりました。荷物が増えてもストレスが激減しました。

③ 居酒屋やカフェで座る時

居酒屋や小さなカフェって、杖を置くスペースがないことが多い。テーブルに立てかけたら倒れるし、床に寝かせたら邪魔になる。

折りたたんで席の脇にそっと置いておけるので、杖のせいでお店選びに迷うことがなくなりました。「ここは無理かな…」と諦める場面がだいぶ減りました。

④ 折りたたみ動画、参考にどうぞ

「開く・折る」の動作、文字で説明するより見たほうが早いと思うので、よかったら動画をどうぞ。三脚を倒さないようにしながら撮ったのでちょっとモタモタしているのと、画質がだいぶ荒くてごめんなさい。参考になれば嬉しいです。


サイズ選びの正直なアドバイス

私は168cmで89cm——「正論」より「自分の感覚」を信じて

私の身長は168cm。使っている杖の長さは89cmです。持った時に肘が少し曲がるくらい、という感覚で選んでいます。

ネット上にある「杖のベストサイズの計算式」からすると、実はこれ、少し長すぎるんです。でも実際に使ってみて「これが自分の好み」とわかったので、今はこのサイズで落ち着いています。

杖の長さって、数字の正解よりも**「実際に持った時の感覚」が大事**だと思っています。

とはいえ、杖を探している時期って、電車に乗ったり実店舗を歩き回ること自体がしんどい、という方も多いと思うので、無理して出かけないでくださいね。

まずはおうちでイメージをつかむ方法として、ビニール傘が便利です。一般的なビニール傘は85〜86cmくらいなので、実際に持ってみて「もう少し長いほうが良いかな」「これくらいで良さそう」と感覚をつかむ目安になります。

また、病院やリハビリ施設に杖のサンプルが置いてあることも多いので、通院のついでに確認してみるのもひとつの方法です。次回の受診時に理学療法士さんや看護師さんに聞いてみると、一緒に合わせてもらえることもありますよ。

実際に持つとこのくらい

168cmの私が89cmの杖を持った時のイメージ。腕がすっと伸びるくらいの高さ
89cm:腕がすっと伸びるくらい
同じ杖を79cm(最短)に調節した時のイメージ。肘が曲がる高さ
79cm(最短):肘が曲がるくらい

ビニール傘と比べると、このくらい

「89cmって実際どのくらい?」と聞かれたら、一般的なビニール傘より3〜4cm長いくらいのイメージと答えています。

傘を持ったことがない人はいないと思うので、このたとえが一番わかりやすいかな、と。

折りたたみ杖とビニール傘を壁に立てかけて長さを比較。杖の方が3〜4cm程度長い
ビニール傘(左)と杖(右)を並べると、杖の方が少し長いくらい。メジャーで89cmを確認中
折りたたみ杖とビニール傘を床に横置きして比較した写真
横から見るとよりわかりやすい。ほぼ同じくらいの長さ感です

グリップはT字型、調節は2〜3cmきざみで

折りたたみ杖のグリップ部分のアップ写真。黒いT字型グリップとゴールドの調節リング
グリップはT字型。ゴールドのリング部分で高さを調節します

この杖、一番短くすると79cmになります。2〜3cmきざみで細かく調節できるので、家族で共用したり、体調によって高さを変えたりもできます。


まとめ——杖は「制限」じゃなくて「自由」だった

大腿骨頭壊死の診断を受けた当初、杖を使うことに少し抵抗がありました。「これを持ったら、病気だということが見えてしまう」と思っていたんです。

でも、三つ折り杖を使い始めてから、その感覚が変わりました。

しまえる、出せる、場所を選ばない。杖があることで行けない場所が増えるんじゃなくて、行ける場所が増えた

旅行も、ちょっとした外出も、友人との食事も——杖が「荷物」じゃなくて「相棒」になってから、外出がずっと楽しくなりました。

もし今、杖を使い始めることへの抵抗がある方がいたら、一度「折りたたみができる杖」を試してみてほしいな、と思います。きっと世界が少し広がるはずです。


いろんな折りたたみ杖から選んでみる

折りたたみ杖はいろんなデザイン・カラーがあります。私が使っているような実用的なシンプルなものから、花柄などおしゃれなものまで幅広い選択肢があります。

ぜひ自分好みの一本を探してみてください。


本記事は個人の体験に基づくものです。杖の使用や大腿骨頭壊死の治療については、必ず主治医にご相談ください。