[ 乳がん・抗がん剤 ]


爪が、壊れていきました。

抗がん剤治療が始まってしばらく経った頃から、指先に異変が起き始めました。


爪の下が「真紫」になった

最初は「なんか色が変かな」くらいに思っていた。でも日が経つにつれ、爪の下の皮膚が、真紫へと変色していきました。

抗がん剤副作用で変色した爪。爪の下が真紫に変色し、表面には細かいスジが無数に入っている
爪の下が真紫に。スジも増えていった

見た目の変化だけではありませんでした。爪の表面には無数のスジが走り、触ってみると——

ぐにゃっとする。

まるでソフトシェルクラブのように、爪が柔らかくなっていたんです。本来あるはずの硬さがない。押すと沈む。あの感触は、今でもはっきり覚えています。

抗がん剤副作用で爪にスジが入り、柔らかくなった状態のクローズアップ写真
スジが増え、触るとぐにゃっとする感触に

(※写真は実際に撮影した当時のものです。爪の変色・スジはそのまま写っています。指紋の特定を防ぐため、爪以外の皮膚部分にのみぼかし加工を入れています。)


日常が「恐怖」に変わった

見た目より辛かったのは、日常生活の変化でした。

水仕事とお風呂の時間が、怖かった。水に浸かると爪がさらにふやけて、いつも以上に脆くなる。タオルを掴む、蛇口をひねる、ちょっとした引っ掛かり——そのたびに「剥がれるかもしれない」という恐怖が走る。

でも、一番困ったのは仕事でした。

私は事務職で、毎日パソコンに向かっています。その私が、クリップを「つまむ」という動作すらできなくなった。

指先で触れるだけで激痛。結局、指先を使わず手のひらで机の端まで掃き寄せて、もう片方の手で受け止める——という、なんとも独特な方法で乗り切っていました。ほんとうに不思議な所作だったと思います。


「寝ている間」が一番怖かった

起きている間は、気をつければまだどうにかなる。問題は、眠っている間でした。

寝返りを打つとき、布団を蹴るとき、被るとき。そういった無意識の動きで、柔らかくなった爪がどこかに引っかかって剥がれてしまうんじゃないか——その不安が、毎晩ベッドに入るたびに頭をよぎりました。

「朝起きたら爪がなかった」なんてことになったら、どうしよう。

そう考えたとき、物理的に守るしかないという結論に至りました。手袋をして寝ること。


選んだポイントは「締め付けのなさ」と「枚数」

綿手袋を探すとき、就寝用に使うということを念頭に置いていたので、こだわったのは2点です。

① 締め付け感がないこと

夜中に「手がしびれる」「きつくて目が覚める」なんてことになったら本末転倒です。ゆったりとしていて、つけていることを忘れられるくらいの着け心地を重視しました。

② コスパが良く、枚数が多いこと

消耗品なので、1枚1枚を大切に使うより、気軽に洗い替えられるものが理想でした。また、就寝以外にも、掃除のときや肌荒れが気になるときの二次利用も考えて、まとめ入りのものを選びました。


実際の使い方:クリーム→手袋→そのまま朝まで

使い方はシンプルです。

寝る前に、指先へたっぷりとクリームを塗ります。ベタベタになるくらい、惜しみなく。そのまま手袋を装着して、おやすみなさい。

ちなみにこのとき使っていた「クリーム」の正体は、キュレルのローション+ワセリンの二段重ねです。詳しくはこちら。 → 抗がん剤で爪がボロボロになった私の「鉄壁ガード術」——キュレルローション+ワセリンという最強コンビ

白い綿手袋のパッケージ。24枚入りの清潔感ある白いパッケージ
シンプルで使いやすい白い綿手袋
綿手袋を着用したイメージ。白くて清潔感があり、日常使いしやすいデザイン
着用イメージ。ゆったりとしていて、つけていることを忘れるくらい楽

最初は「夜中に外れてしまうかも」と思っていたのですが、これが全くその心配がありませんでした。ゆったりとした作りなのに、朝起きてもちゃんとはまっている。締め付けもなく、違和感なく朝まで過ごせました。

クリームと手袋の密封効果で、翌朝の指先がしっとりとしていたのも嬉しい誤算でした。


手袋一枚で、夜が変わった

導入してみて一番変わったのは、「夜の安心感」 でした。

「寝ている間に爪が剥がれたらどうしよう」というストレスが、きれいになくなった。それだけのことで、こんなにも眠れるようになるのかと思いました。

爪を守ること、保湿すること——この2つが手袋一枚で同時にできる。抗がん剤の副作用を抱えながら、できることを積み重ねていくあの日々の中で、シンプルに助けてくれたアイテムでした。

同じ悩みを持っている方がいたら、ぜひ試してみてください。手袋一枚あるだけで、安心感が全然違います。


本記事は個人の体験に基づくものです。症状や治療については、必ず主治医・専門医にご相談ください。